カフカ的小説 「ガルパル氏の鞄」

 ガルパル氏はいつも茶色の鞄を持ち歩いていた。鞄には二本の万年筆と携帯の手術道具、聴診器、何冊もの本と気付け薬が入っていた。飛行機にのっていたとき、前の座席のおこさまが本の題名をいった「NO body kows」覚え立ての英語だったようでかなり得意げな顔をしていた。そのおこさまの母は「すみません、だめよペーター・ハントケ」おこさまの名前はペーターというらしい。そのとき飛行機は大きく揺れだした。ガスパル氏はペーターよりも先に泣き出しパニックになった。ペーターはガルパル氏の頭をそっとなでた。するとガルパル氏は落ち着き、平静をとりもどした。飛行機の揺れはおさまり、乗客達は安心した。
 「どうやらこびとに助けられたようだ」ガルパル氏は気付け薬を鞄から取り出して客室乗務員を「ちょいとお水をくれんかね」とよびとめてゴクリと飲んだ。するとガルパル氏はそのまま気を失った。
 しばらくたつと、ガルパル氏は自宅の寝室にいた。「ああ、これ夢だったのか」とつぶやいたがむねには「No body kows」の絵本がおいてあったので「世の中には不可思議なことがある物だ」とうなってまた眠りについた。