『楽園への道』ガルガス=リョサとブローデルの『地中海』から神話を考察してみる

 ラテンアメリカの文学は密度が濃い。その濃さはロシア文学とはまたちがう。京都で『瞳の奥の秘密』という映画をみた。ラテンアメリカのエッセンスは陽気な中にも鋭い人生の機知が文体のなかにまきちらされている。数年前、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』と言う本が世界的にベストセラーになったが、家族を長い年月かけて描ききるガルシア・マルケスの凄さを小島信夫さんも保坂和志さんも「凄い」と評価していた。
 実家の本棚をみたら『楽園への道』ガルガス=リョサ著があった。病院にもっていってよんでみたが、情交のシーンが多いので並行してしまった。日本における情交の概念とラテンアメリカにおける情交の概念はやはり違うらしい。ラテンアメリカの底力のある文体と一枚のページに凝縮された「栄養ドリンク」のような生命力はロシア文学に通じる物があるが、ロシア文学ほどのおどろおどろしさや「こんなやつはいないだろう」的なキャラがすくないことが読者の幅をひろげているらしい。
 ロシア文学でもアレクサンドル・ソルジェニーツィンの『収容所群島』やミハイル・ブルガーコフ巨匠とマルガリータ』が「家族のあり方」を歴史でひもとく時に参考になる本だとおもわれるが、私はまだ読んだことがない。
 ドストエフスキー文学はドストエフスキー自身が持病のてんかんをもっていたために私自身も読むと「もの凄く」憂鬱になる。
かなりゆっくりした読み方でよまなければ、不眠症になってしまう。
 トルストイの文学は実家に『復活』があったのでじっくり読んでいきたい。トルストイの思想を体現した学校が日本にも数多く存在する。ロシアはカムチャツカ半島に位置する北方領土の問題で騒がれているが、近くて遠い国なのだろう。現在は実家に帰還しているので市立図書館で『戦争と平和』の途中からよみすすめていきたい。実家ではドストエフスキーよりもむしろトルストイラテンアメリカ文学など光のある文学を読んで「小説を書く学問」をこころみてみたい。
 歴史書にかんしてはロシア文学にかんしては歴史書ではないけれどもミハイル・バフチンの文芸批評書とラテンアメリカもふくむ考察に関してはブローデールの『地中海』が勉強になりそうなのでゆっくりと書込みをしながらよむんでいきたい。