何度もみても考えるドラマ『あいのうた』

 ドラマ『あいのうた』をみたことで友愛について深くかんがえることができる。乙女は不可思議に「記憶をなくした」とうそをつき刑事の一家に居候することになる。刑事は<のらくらもの>でありながら人倫すなわち人間関係について熟知している。人間をひろってくることは人間ができることのなかでかなり難しい行為である。乙女はおこさまと刑事のあたたかでありながら思慮深い雰囲気につつみこまれて「人間となにか」をぼっちらぼっちら学んでいく。奥様の仏壇にはそこはかとない哀愁がただよっている。おこさまたちいかにせっすべきか浄土から乙女をみまもっていたのかもしれない。
 ちぐはぐな家族がほんとうの家族にメタモルフォーゼしていく過程が克明に描かれている。家族の存在やなかまのあり方についても知ることができる。いつかこのような「おとぎばなし」のようでありながら「おとぎばなし」ではないような「おとぎばなし」をいつの日にか私も書いてみたい。
 また見直してみよう、『精神の現象学』やユングの心理学の本『心理学と錬金術』に書き込みをして『ハイデガー・ノート』にパラフレーズ菩提樹のように書き散らしながら。