ひそかな楽しみ

 実家に帰っての密かな楽しみはテレビ番組の『さんまの恋のから騒ぎ』を観ることである。この番組はいろいろなことをおしえてくれる。人間関係のヒエラルキー、性のタブーとそしてなによりもおどろくのはさんまさんの見事な司会とその統率術である。瞬間的に乙女のあだ名をつけるのはもう名人芸の域にたっしている。
 そして、列問題、一段目と二段目と三段目では格付けがされているらしい。福澤諭吉はかつて
「天の上に人をつくらず天の下に人をつくらず」
と言った。そうであるならば、これこそが、ヒエラルキーの象徴なのではなかろうか。そう考えると『さんまの恋のから騒ぎ』もがぜんおもしろくなる。いかに人間は統治すべしか、統治されなくなるべきかそして、卒業とともに連帯意識をもった乙女達は涙をながす
「涙の数だけつよくなれるよ」
の思想に基づいているのであろう。
そういえば、卒業式になると乙女は涙を流していた。心無い小僧に
「それはうそ泣きだ」
とささやかれながら。