下宿の文化①

 六畳のかび臭い下宿では文化活動が小さなポータブルDVDプレイヤーとバイオリンで転回(ケーレー)している。さいきんはもっぱらベートーベンを聞いて本を読むことに熱中している。ベートーベンの交響曲第7番と交響曲第9番は善い音楽である。指揮者がちがうとまた音楽もまたちがう。フィルとヴェングラーの映像はかなりすくないし、音質がかなり劣悪である会場の聴衆の
「こほん、かはん、あはん」
という咳払いまでもが録音されている。

 バーンスタインの指揮はあまりにはげしすぎてすごすぎる。笑いがこみあがってくるほどである。バイオリンの先生の言っていたとおりバイオリン奏者の肘の動きはクラシック・バレエの群舞のようにそろっている。

ベートーベンの第9番は合唱までいきつくまでにはかなり忍耐をようする。みんな根性をたたきなおすには第九だよ。