アナログ・コピー機 貴方とは付き合えない

 私は完全なアナログ・コピー機である。哲学書をノートに書き写すことでコピーしている。そして先生や先輩の行動もコピーしている。
「貴方とはつきあえない」
と往復びんたをもらって乙女にたちさられることは
このままいくと間違えないであろう。
 では、どうすべきか。簡単である。修行するしかあるまい
一、座禅
二、バイオリン
三、バレエ
これを循環していくうちに
「免許皆伝じゃ」
と師に言われる可能性が高くなるであろう。
 私は普通の腹からボコボコ割った腹直筋肉になるべく筋トレをひそかに開始した。黴くさい下宿にはちいさなホワイト・ボードに「至誠心」親鸞聖人の言葉と「腹筋を割る」とかいてある。
 問題は書いてあっても行動できない怠け心である。「汝のきめたとおりに約束事をすいこうせよ」とはその「約束事」ができる範囲内においてきめられているという前提にもとずいている。
 そうでなければ約束はまもることもその約束をさだめることもできない。バイオリンの楽譜という楽しいが無理筋なシナリオにとりくんだとき私はうっすらと自覚をしはじめた。
「やべーな、浄土に逝けるかな?」
ノーベル文学賞とれるかな?フロイトのようにトーマス・マンをうらみながらとりそこなうのかな?」
と疑問がわいてきた。
無理筋のシナリオが成功すると世界は変わるらしいが、無理筋がそのまえに無茶筋であった場合、私は
「馬鹿」
といわれてチャラリーと消える羽目になるであろう。