京都に帰還

 母といっしょに京都に帰還した。母はケインズだと思ったが、マルクスだった。八坂神社に行くと、「お守りなんかお金の無駄だから買わない」と言い。舞妓さんを母と一緒に花小路通りで目撃したときは母も感動していた。
 母と一緒にロシアの家庭料理を食べることになった。コース料理で少々値が張る。「お前いつもこんな高級なところで飯をたべてるの」「違うよ、お茶をのむ程度だよ。ぼくの恩師の恩師もここでご飯をたべたことがあるんだよ」
料理がくる。
母、会社の愚痴を滔々と語りだす。いつもいる部署から移転され、会社がわたしをいじめているとのこと、被害妄想の気配があったのでひたすら話を聞いていると、「このままわたしは浄土へ行きたい」言ったあとボルシチを食べながら涙をながす。そしてのこったスープの料理を私にさしだし「食えないからお前たべて」と言う。母は食卓でこのような鋳型にはめこんだような戦略で料理を食す。おなかがいっぱいになると他者に責任を移行し、他者が食べている料理があると「少しちょうだい」といって了解をえずに料理をすばやくうばうのである。
 この傾向は私の読書傾向と重なっている。まだ読み終わっていないにもかかわらず、参考文献、二次文献と次から次へとパラレルで書き込みをしながらよんでいく。そのために「よくわからない人」になるのであろう。