カフカ的小説「宙に舞う」

Lは体操競技で空中で2回ひねるわざを練習していた。床の種目である。いつも1回まわって2回目に入る半分のところでそのまま床に落ちてしまう。Lは「なぜだろう」と頭をひねった。そこにKが来た。KはLの教官である。
「君の思い描いたとおりに動いてごらん」
Lはこころを落ち着けてもういちどやってみた。
2回ひねりは空中でひらひらと木の葉のように舞った。
「やればできるじゃないか」
Kはぼそりとつぶやいた。